2008年07月25日

“百聞は一見に如かず”

b0002123_10181523.jpg                    2006/11/06 05:00

新聞によれば、中国に進出するため米国の大手IT企業のヤフーのみならずグーグルまでもが中国の言論弾圧に屈服したそうだ。米議会の聴聞会で大手4社の役員は激しく叱責されている映像がテレビでも流されていた。アメリカの民間IT業者は、言訳の様に「民間の力だけでは打開できない壁がある」というような発言をしていた。たしかに、今の中国に進出して行くのは、大きなリスクが付きまとうし危険も覚悟せねばなるまい。もともと、中国は中華人民共和国というレッキとした“共産党が独裁”する民主主義もなければ、気の毒にも自由というものをかつて経験した事もない国である。

国名に、羊頭狗肉の如く“人民”と“共和”をかざしているところなど、まさにご愛嬌である。昔、ココムとかチンコムといった共産圏包囲網があったが今はあまり耳にしない。中共を中国と言い換える様になってから、本質的になにも変わっていないのに中華人民共和国に対する対応が随分ちがってきたみたいだ。しかし、中国は、なかなかどうしてシブトイ国だ。それを承知で進出したヤフーもグーグルも金目当てとは言え良い道筋をつけた。彼等の進出によって中国は、ソ連が情報公開によって崩壊したように“コペルニクス的大変革”をきたすだろう。

視聴覚に訴える情報というものは、我々日本人も、かつて経験したが、とてつもなくおおきな破壊力がある。私が終戦直後に経験した特に大きなカルチャーショックを受けた情報が3つある。まず、映像によるショックである。戦後まもない頃、私共の校長が文部省からアメリカの教育事情の視察を命じられてアメリカに旅立った。まだ、当然の事ながら、空路もなく「憬れのハワイ航路」もない時代、アメリカ海軍の巡洋艦に乗って1月がかりで行ったということだ。たまたま校長の息子が友人だったのでアメリカ土産の双眼鏡みたいな形をしたスライドを見せてもらった時の驚きは今でも鮮明に記憶している。カチャと回すと“総天然色”で摩天楼と言われたエンパイアステートビルが現れる、次ぎにカチャと回すと、巨大なナイヤガラ瀑布が出てくる、さらにシカゴの巨大な台自動車工場が出てくる、圧巻はマッハッタンを闊歩する人々の色鮮やかなアメリカ人の服装である。“百聞は一見に如かず”とはまさにこの事だ。百万言を費やすよりも映像は、かくも雄弁である。

次ぎに、驚いたのは当時、朝日新聞に連載されていた「ブロンディー」という漫画である。アメリカの一般家庭を題材にした漫画だが、その中に描かれている絵は一つ一つ衝撃的だった。テレビを見る夫ダンディーに、トースターでパンを焼いているブロンディーが芝刈機で庭の芝刈りをして欲しいと言っている。アメリカ人にとっては、なんの変哲もない日常の一コマだろうが、テレビもトースターもまして芝刈機なぞ見た事もない者にはショックでもあり憧憬でもあった。そして、闇市に氾濫する米軍から流出した物資の数々。キャメルやラッキーストライクなどのタバコ、ハーシーのチョコレート、レーションという戦闘食の缶詰の中には食料の他に、おやつやタバコ2本まで入っていた。あの物資の豊富さには圧倒されたものである。ネスカフェの空瓶にいれた水が日にかざすと綺麗な水色だったのも一つの驚きだった。

その後、ネスカフェの空瓶は昭和31年の夏の登山の時まで重宝した。文化ショックを受けながら、未だに確かめていない事が一つある。進駐軍の兵隊は「缶ビールを冷やすのにガソリンを、ぶっ掛けて気化熱で冷やすそうだ」という噂があったが、50年以上経った今でも試していない。此れだけは、なんとも罰当たりな気がしてやっていない。一つの情報の風穴から怒涛の如くアメリカン・ポップスが流入して来た光景が中国本土に広がるのも時間の問題だと思われるが、どうだろう。
posted by 語り部同人 at 15:34| 語り部倶楽部 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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