2009年06月09日

巣鴨界隈の風景

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巣鴨の“とげぬき地蔵尊”の境内には、古くから続いている露店が、軒をなして並んでいる。まあ“とげぬき地蔵尊”のぐるりを囲む藩屏のようなものである。門前町などは、露店なしでは丸裸みたいなものだ。あります、あります、つぎからつぎに露店が並んでいる。唐辛子屋、根付屋、梅干屋、腰紐屋、古着呉服屋、ぼろ屋、植木屋、綿飴屋、ヤキソバ屋、太鼓焼き屋、暦屋、お好み焼き屋、味噌漬屋、カツラ屋、迷子札屋、馬木の耳掻屋、焼だんご屋、地蔵屋、ヨーヨー屋、家相観屋、おみくじ屋、削り節屋、パンツ屋、つぼばん屋、ペタップ屋、珍味屋、易者、左馬の茶碗屋、健康器具屋、風船屋、焼だんご屋、サンガ屋、お香屋、まむし屋、ラオ屋、占い師などなどのお店が連なっている。昭和30年代の田舎の祭の縁日の風景そのものである。「3丁目の夕日」とかいう映画が人気だそうだが映画そのものの雰囲気がそのまま残っている日本でも数少ない町の一つだろう。

境内には焼き団子の醤油の焼ける香ばしい匂いが漂っている。昔あって、いま巣鴨にないのはカーバイトの“アセチレン・ランプ”の匂いくらいなものだ。参拝客は、それぞれ馴染みの店の前で話込んでいる。その光景は、まるで砂漠から久しぶりに、オアシスに出てきた砂漠の民のようである。人が恋しいのだ。久しぶりに人と話した、と言うお年寄りさえいる。人と会話ができるだけでも御利益のうちなのだろう。だが、参拝に来る年寄りすべてが善男善女とばかりは言えない、たまには“年寄りの不良”も来る。けっこう“年寄りの不良”というのもいるものだ。

お年寄りで偽悪ぶる“不良”もなにか可愛げがある。いまだに若手の“傷痍軍人”などがアコーディオンとハーモニカで「ここは御国の何百里・・・」とか「モンテンルパ・・」などの歌を奏でている。南方戦線に出征した00師団00兵団で名誉の負傷をしたという話をきいて「ウソと分かっていても身につまされてお金を入れてしまいたくなる」と言うお年寄りもいる。こんなところは、全国広しといえども巣鴨くらいのものだろう。

巣鴨のとげぬき地蔵尊の縁日は毎月4日、14日、24日である。まあ、見事なほどの露店の数である。“美は乱調にあり”とも言われるが、とりすましたデパートなどと異なり乱雑、喧騒、ゴチャゴチャさかげんがなかなか良いと人気である。そこんなところが、この町の魅力なのだろう。

posted by 語り部同人 at 08:42| 語り部倶楽部 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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